Tハウスドローイング

建築の道を歩み始めた30年前は、パソコンなんてほとんど普及してない時代。あっても、今のようにパソコンで絵を描いたりということもなく、そもそも図面も手描きだった。

だから当時の建築プレゼン資料は、全て手描きで作成した。
その流れで、設計意図の伝達(表現)手段のひとつとして、ドローイングがあった。様々な表現手法があり、僕は好んで上の画像のように、鉛筆のみでデッサン風のドローイングを描いた。

これは、iPad ProとAppleペンシルで描いたもの。割と鉛筆で描いたデッサンに近い表現ができる。使用ソフトはAdobe fresco、微妙な筆圧にも反応してくれる。

紙と鉛筆なしで、ドローイングが描ける時代に拍手!

Tハウス見学

Mハウスの施主をお連れし、Tハウスの見学をしてきた。

同時期の計画だったということと、建坪としては同じような大きさ、仕様もほぼ同程度ということもあって、外観や内部の雰囲気などは、百聞は一見に如かず ということで、実際に見てもらうことにした。

仕上の決定と、計画面積に対する空間の物理的大きさの確認。そして一番伝えたかったことは、面積はあくまでも図面上のものであって、必ずしも空間から与えられるイメージとは別次元のものだということを、体験して欲しいと思った。つまり、空間というのは、物理的面積に支配されないものだということを。

カーテンが不要なしつらえを前提に、吹き抜け空間から視線を上げたその先には、空が広がる大きな窓。明るければ良いというものでは無く、空間に奥行きを与えるために、光と影のバランスを考えたり。部屋があるから、窓を取るということではない。内部からの視線に対し、外部の視線を調整する。またその反対も然り。すべてはバランスを考えながら、注意深く窓の配置を考える。

その結果としての空間であり、そいういう思いで日々設計に取り組んでいる。

※施主のプライバシー保護のため、この記事に写真は掲載しておりません。

Tハウス現場最終確認

外壁板張りの最終塗装色と、諸々の仕上がりを確認しに現場へ。

不具合箇所は、まったく無く、むしろ施工レベルが高くて唸ることしきり。空間としては非常にシンプルで、その平面構成も特殊にしたつもりはないけど、施工にはかなり手が掛かったと、監督さんには良く言われ実際、予定より約2ヶ月延びた施工期間がそのことを物語っている。

外壁板張りの塗装は、濃い色味の板材に合わせ、画像の塗装見本で決定。

インナーガレージを兼ねたエントランス部の土間コンを打設した後、完了検査の予定。

Mハウス現場確認

Mハウスの状況を確認しに現場へ。

基礎根伐り中のMハウス現場

杭工事を終え、基礎の根伐り施工中の現場。
計画地の周りは田んぼの吹き曝しで、奥羽山脈からの吹き下ろしと、岩手山方向からの風がかなりの勢いで吹き付ける。

居久根の風景

この地域、通常ならイグネと呼ばれる杉林で敷地を囲い、強風から住まいを守っている。その杉林が平野部の水田に点在し、独自の風景を醸し出す。しかし今回の計画は、新たに田んぼを埋め立てた土地のため、その杉林がない。強風から住まいを守るためには何らかの策が必要と思い、イグネの役割を担う防風壁をプランに組み込んだ。奥羽山脈と並行に壁を立て、エントランスアプローチとLDKを風から守る。それが、この建築のアクセントとなり、またアイストップとして機能することを目論んでいる

この先、鉄筋工事にコンクリート工事が控えるが、気温が5度を上回る日はなく、氷点下が続くので、AE剤の使用、ジェットヒーター等の使用で養生の厳密化を図ってもらうよう現場サイドに伝達。とかく住宅の現場は、それらが有耶無耶にされ易く、また見積りは、厳冬期のものではないので、それら費用を見越しておらず、施主に説明しその分の費用捻出等の策が必要だろう。そういった施主と現場との調整役も、設計者は担うことになる。

Tハウス現場

リビング吹抜け照明の位置決めで現場へ。

まだ内部足場が組まれたままの現場。
意外と時間が掛かったクロス工事もようやく終わり、あとは照明、設備機器の取付と、塗装、外構関係を残すのみ。

さて本題。照明用のソケットは、普通の碍子むき出しの物ではなく、木製カバー付きのものをネットで探し、器具指定した。付属の標準コードでは長さが不足する上に、巻き癖のついた硬いビニールコードがヨレて、スッと垂直に垂れてこないことを想定し、布製コードに取替えて欲しいことも併せて伝えておいた。

しかしながら、コードの取り換えを安易に考えていたようで、けっこう無理な注文をしていたらしく、器具の部品形状では、指定のコードが付けられないと判明。現場サイドで色々検討してもらった結果、何とか形になるような策を講じてもらえた。監督さんと電気屋さんには苦労を掛けてしまったようでやはり、ひとりの力では当然だが、現場は中々立ち行かない。図面では納まったように見えても、実際現場では、色んな職人さんの腕に支えられているというのが実情だろう。現場の意見を参考にしながら進められる体制が早期に整っていないと、設計者の意図したものが、独りよがりだったということもあり得る話し。絵画や彫刻といった芸術分野と違い、自分の腕ひとつで表現できる世界ではないからと言えばそうなのだけれど建築は、奥が深い。

照明の高さ方向を決定し、完了検査に向け、法令要素をとりあえず確認しておく。特に24時間換気の吸排気口の位置については、完了検査時に指摘されやすい。申請時と位置が違っていることに気付かなかったりするのだ。

分室に戻り、現場の要所を確認し、気付いた点を監督さんにメールで打診しておく。

時間の経過と共に、かなり意図した色合いに落ち着いてきた板張りの外壁。無機質な金属系サイディングと木の自然な感じの対比が、この住まいの良さとなって欲しいのは勿論だが、木のぬくもりが周囲との調和を担ってくれることも期待している。なので極力木目の印象を残した上で、薄く木材保護着色塗装を施す考えに落ち着く。現場をみるとクリアーをかけて終わりでも良いかと思ったりもするが、最終的には塗装サンプルを見て決めようと思う。

①既製アイランドキッチン
②目隠し壁で囲ったライトコートに水廻りを隣接させる。北側配置の水廻りだが、明るさと解放感を出すための演出。
③バスルームにも、バスコートに向けて絞り込んだ開口がある。バスルームはいわゆる既製のユニットバスのため、極力解放感を演出したかったため、洗面との仕切りはガラスのパーティションにしている。
④約30坪と小さな住まいだが、トップライトやLDKへのアプローチに敢えて廊下を配した。
⑤階段は木の塊というコンセプト(無垢板の仕様だったが、集成材に変更)

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