東京4

JR国分寺駅で降り、ここからランニングがてら、いくつかの建築を見て回る。

最初に駅近くに建つ、藤森さん設計のチョコレートハウストタンの家を見る。個人宅(トタンの家はギャラリー)なので外から拝見。

チョコレートハウス
設計:藤森照信

外壁に張った、鋼板の波打った感じがとても良かった。手で一枚一枚グニャグニャ曲げながら張っていくのをどこかの雑誌でみたことがある。この建築の持つ独特なエネルギーは、そのとてつもない労力の裏に隠されているのだ。

トタンの家
設計:藤森照信

ジロジロウロウロしながら写真撮ってると怪しい人物と誤解されかねないので、ササっと済ませて5kmほど住宅街を走り抜け、次のなかまちテラスへ向かう。

なかまちテラス
設計:妹島和世

なかまちテラスというので、もっと大きな施設をイメージしていたが、意外とこじんまりした小平市の図書館だった。(手前の交番と比較してみると規模の程度が良くわかる)この折り重なるボリュームを平面に持つ形式は外観こそ違うが、同氏設計のすみだ北斎美術館(右画像→)と考え方は全く同じ。重なったボリューム相互の空いた外部空間を、路地のように見立てている。

道路からみる(Googleストリートビューから拝借)

この重なったボリュームの隙間が、路地になっている。外装のエキスパンドメタルを公共施設に使うって、ちょっとどうかと思ってたけど。遠目には違和感ないけど、近づいてみると、やっぱりチープに見えたりする…工事中の現場みたいで

ここから、三鷹辺りから多摩湖へと延びる多摩湖自転車道を約10kmほどひたすら走り、前回書いた多摩湖霊園管理休憩棟、狭山の森礼拝堂へと向かう。

東京

東京3

上野公園は一日あっても足りないくらい楽しめる。法隆寺宝物館も東京へ来ると訪れたくなる場所。というか、上野公園含め。

法隆寺宝物館(設計:谷口吉生)にも水盤はあるが、先の狭山湖畔霊園管理休憩棟の水盤とは大きな違いがある。水と建築を対比とする手法は、安藤忠雄も同じで、 法隆寺宝物館も安藤さんの手法と同じ位置付けといえるだろう。この場合、どちらかと言えば内部への関与よりも、外部において建築が水盤に映り込むといった風景としての建築への効果が大きいのかと思う。

東京2

東京へ来たら、必ず寄ってみたくなる場所。

東京カテドラル聖マリア大聖堂
設計:丹下健三

画像左上:代々木体育館 画像右上:東京カテドラル聖マリア大聖堂
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明治神宮へは必ず寄ることにしていて、境内を通って代々木公園からの代々木体育館が好きなコース。ランニングウェアで、なるべく公共交通機関を利用せず、ランニングで回るというのが自分流。だけど、明治神宮境内のランニングはNGというのを最初知らずに走ったら、守衛のおっさんに警笛をピピーッ!!と静止させられ、泡食った苦い経験があって…汗

丹下さんのこの2作品は、ボクの中では 魂を揺さぶる建築 のひとつ。
こういうタイプの建築をつくる建築家はもう存在しないし、時代の要請や建築の潮流、考え方、技術面、色んな意味を含んでの 魂を揺さぶる建築 のひとつ。

東京

良し悪しは別として
建物を見に出かけることは、すごく大事だと考えている。

狭山の森 礼拝堂
設計:中村拓志
狭山湖畔霊園 管理休憩棟
設計:中村拓志

ボクが感じている、この建築家の作品全般に言えることは、素材の使い方が実に見事なんじゃないかと思っていて。建築というのは、環境へ与える影響というのは図り知れず、それを活かすか殺すかは、形態はもちろん、素材や色の使い方が重要であり、それらをうまく組み合わせることに長けている建築家と言ったらよいだろうか。

特に2つ目の管理休憩棟の水盤を組み込んだ部分。太陽の反射光が天井面に映し出され揺らぐ光景は、まさにあの世とこの世の臨界にある建築を彷彿とさせる演出だと感じた。光が映し出される天井は、大ぶりな垂木で力強くシンプルに構成され、木造の素材そのもので表現したところも心憎い。そして何より水盤には、周囲の木々や空が映り込んだ状況を、建物内部に浸透させる物理的効果をも持っている。素材そのものを持ち込む技術だけでは、人の心には深い影響を与えない。これに加え、周囲の環境との見事な調和(調停)があってこその環境としての建築である。そのことを実に心得ている建築家なのだと思う。

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