世界一周の旅(重慶~昆明)その2

31mar1992(tue)くもり

前回からのつづき
宿に泊まれず、重慶駅の外ベンチで夜を明かした次の朝。

重慶は、とにかく坂の多い町。建物が山にへばり付き、折り重なる。

やっぱり早朝から騒がしい。それが昨夜とはまた違った騒々しさなのだ。駅舎の中に入ってみると、嫌な予感と同時に、目の前の状況を疑った!ひと晩中寝れず朦朧とした頭では、一瞬何が起きているのか分からなかったが

ま、窓口が!窓口が~!!
長蛇の列?いや、人の塊りで埋め尽くされてるやん。炎上しとるやん!!

あか~ん!!

時計をみると切符売場が開いたのは、えっ?まだ朝の5時やねんけど!
って、時すでに遅し。例の、おしくらまんじゅうが窓口の前で始まっている。ゴルァ!お前ら、並べへんのか~ぃ!と、日本語でツッコんでみるも空しさ倍増。

ここで切符の手配をしくじったら、またこの駅でひと晩明かさないといけなくなる。そう考えただけで背筋がぞわっとする。目的地は昆明。目の前の状況に、呆然としてても何も始まらない。「重慶ー昆明 硬座 大1人」(硬座:最下クラスの座席)と書いた紙片を手に握りしめ、まっしぐらに、その塊へ飛び込んだ。

地獄絵図とはこのことだろう。老若男女問わず、我先にと押し合いへし合い。その中へ日本人ひとりが飛び込むのだから、かなり勇気と度胸がいる。しかし、ちっこいおじさん(当時はちっこい青年)は、すばしっこさにだけは自信があった。スルスルと塊の中をすり抜け、ものの10分くらいで、窓口に到着するや、スパっ!と紙片を差し出す。窓口で服務員のおばちゃんが何やらごちゃごちゃ言ってるが、これこれ!と紙片を指差し意思表示。

あっけなく人民料金で切符が買えたw 外人なので、本来なら人民料金で買えない切符も、筆談形式でやれば買える。ちなみに、ほぼ24時間の乗車距離(約1,000km)にして料金49元(当時のレートで日本円に換算すると片道1,200円)※現在は便利な世の中になってて、Trip.comでチケットを並ばずにネットで買える!

硬座の中。文字通り、薄いスポンジに、ビニールを被せたような硬いシートに、当然リクライニングもなく、直立の素っ気ない造りで、身動きできないくらい人、人、人。通路にも人。乗車率200%か?例のガヤガヤ感も、旅という解放感が手伝ってか、めちゃくちゃうるさい。狭い車内ではそれが余計に増長され反響する。何とも耐え難い、劣悪な環境。

何はともあれ、とりあえず硬座の切符は手に入れた。
改札は、それほどの混雑も無くすんなりとホームに入れた。しかし車両はボロボロやっぱりちゃんとそういうオチが付いてくるのは、中国ならでは。床に穴が空いて線路が見えてるは、窓ガラスも所々割れて風が吹き込んでくるような、今にも崩壊しそうな列車。これで24時間、1,000km走れるのかと、少々心細くなってきた。

つづく

Tハウス現場打合せ

建て方も終わり、外壁下地が張り終わりつつある現場に行ってきた。

建物のかたちが見えてきた。遠くに岩手山が見える好立地。しかし、区画整理事業真っ最中の土地柄なため、いずれは住宅で埋め尽くされることになるだろう。

車を自宅に置いて盛岡分室にきているので、盛岡でのもっぱらの移動は、チャリ(ミニベロ車)か、自分の脚ひとつ。とてもシンプルな移動手段💦 それで、趣味と実益を兼ね、ランニングで移動。距離に対する時間感覚を間違え、ちょっと遅刻すみません💦

今回は、細部の納まりについて現場打合せ。まずは階段について。

当初のイメージは、無垢の木をくり抜いて造った階段。物理的に木をくり抜いて造る訳にはいかないので、実際は無垢の板を接ぎ合わせてつくることになる。とはいっても、無垢の板材はべらぼうに高価なので、大体は集成材に落ち着くのだが、それでもモデルハウスという性格上、少しだけ粘ってみた。集成材でも、フィンガージョイントのない材料もあり、少しだけ無垢材の様にみえる。これが使えないかと打診し、現場でサンプルを見た結果、やっぱり集成材は木材の集成でしかない。それ以上にはならない。であるなら単価の安い普通の集成材で今回も落ち着くことになった。一見無駄とも思えるこういう作業の積み重ねは、住宅建築にとっては不可避であり、出来上がった姿は、これまでの思考の一部でしかない。その良し悪しは、設計者のセンスや判断力、拘りにあるのだといつも思う。妥協してしまえば簡単だが、そこにはやっぱり、色んな「闘い」と「葛藤」があり、わずかな判断で、建物の良し悪しを左右してしまうことになる。住宅という建築タイプは、クライアント個人の買物としては多額なため、予算にシビアにならざるを得ない。

左が設計当初(基本設計)の、外壁下見張りのイメージ。右が、実施設計終了時のヴォリュームCG。

外壁も当初は、ケイミューのSOLID(typeM_LAP)というのを選んでいたけど、予算の都合から、金属系サイディングに変更した。ただし、建物全体の印象として、そのイメージを引き継ぐ表情が欲しかったので、下のSF-ビレクトを選択。どちらもGOOD DESIGN賞を受賞した材料なので、公に評価を得た信頼性の高い外壁材には違いない。

アイジー工業のSF-ビレクト。

窯業系(ケイミューのSOLID)と金属系(SF-ビレクト)との根本的違いは、テクスチャー(質感や素材感)の違い。これは大きな差として表情に変化を与えることになる。ケイミューのSOLIDはザラっとした表情で、SF-ビレクトはツルっとした表情。そもそも基となる材料が違うので、どうすることもできない。

次に、建物正面、外壁の一部分を構成する板張りについて。
見積りには羽目板を入れており、板張りの性質上、木材経年による痩せや暴れを避けるため脳天から釘止めという施工方法しか選択肢がない。羽目板の繊細な表情に、釘止めというのに何かしらの抵抗があり、どうせ脳天釘打ち施工になるなら、いっそのこと壁の下地材(軸組)で使用する間柱を使ってはどうかと、閃いた!

壁の下地につかう間柱。普段は表に出てこない材料。今回はこれをつかって外壁の一部に張ることにした。下地材なので、表面は荒々しい。この荒々しさと、脳天釘止めの施工とで互いに打消し合い、表情が同一化することを目論んだ。釘をビスに変え、あえてその荒々しさをデザインとし、頭の大きなもので留めていく。

稲刈り(パート2)

2回目の稲刈り。

土日、雨の予報とは裏腹に、天候が持ってくれたこともあり、すでに田んぼ一つ分の稲刈りを、妻と義母2人で終えてしまっていた。

残るはあと田んぼ一つ分。とは言っても、刈った稲を干すためのハセを造らないといけない。高齢の義母と、体力に自信のない妻では、その作業自体が不可能なこともあり、自分は稲を刈るというよりは、ハセ造りがメインになる。

柱に使う丸太を田に差し込み、稲を掛ける6mほどの長い丸太を、柱に縄で結び付けていく。それを3段つくる。以前は4段だったが、自分も含め、ちっこい家族だから  脱穀作業の時に、背が届かなくなる

無事、今年の稲刈り終了。

あとは脱穀まで、台風情報に目が離せない。
以前、一度ならず二度三度と台風で稲を掛けたハセが倒されたことがある。ハセが倒れると、もう手が付けられない。一度稲を外し、ハセを立て直して、また稲を掛け直す。手間が倍かかる上に、雨で濡れた稲もいつになく重く感じる。むちゃくちゃネガティブな心理状態での肉体労働って、ホントつらい。何のバツゲームやね~ん!と。
8日の時点で、11、12日と、ホンちゃん(台風14号)が東北に上陸しそうということもあり、自宅待機の予定だった。が、なんだかヘソを曲げ急に進路を変え、発生地点まで戻っていくような

を~ぃ!

ハセづくりと稲刈り

日々の業務に加え、GWとこの時期は、妻方の田んぼの農作業が待っている。

秋晴れの中の作業。心地よい風が吹き渡り、作業も捗る。

例年、関東から妻の弟が農作業の手伝いに来てくれているのだが、今年はコロナの影響で来れないことを前提に、作付面積を減らして稲苗を植えたんだけど、男手が自分ひとりに、妻と義母の3人で結構大変(汗)

しかも、天日干しとキテるので、ハセ造りがチョ~大変!

無農薬とまではいかないにしても、極力農薬を減らし、しかも天日干しの米だから、ネットで売れば結構高値で売れるんじゃないかとw まさに、プレミアムな米なのよ!

コンバインでガガーっと一気に刈るのではなく、バインダーでひと畝ずつ刈っていき、刈った稲を手作業でせっせと集めては、黙々とハセに一束ずつ掛けていく。気の遠くなる作業。

普段は三次産業に従事し、二次産業を飛び越え、一気に一次産業に従事する

人が生きていくためには、必要不可欠な部分であり、そして何より自然に近づけ、その恵みを得ることができる。この上ない充実感と、自然に感謝という気持ちで満たされる。

そういったスタイルが、自分には合っているんだなと。
身体が動き続ける限り、続けて行ければと思っている。

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