Tハウス現場打合せ

建て方も終わり、外壁下地が張り終わりつつある現場に行ってきた。

建物のかたちが見えてきた。遠くに岩手山が見える好立地。しかし、区画整理事業真っ最中の土地柄なため、いずれは住宅で埋め尽くされることになるだろう。

車を自宅に置いて盛岡分室にきているので、盛岡でのもっぱらの移動は、チャリ(ミニベロ車)か、自分の脚ひとつ。とてもシンプルな移動手段💦 それで、趣味と実益を兼ね、ランニングで移動。距離に対する時間感覚を間違え、ちょっと遅刻すみません💦

今回は、細部の納まりについて現場打合せ。まずは階段について。

当初のイメージは、無垢の木をくり抜いて造った階段。物理的に木をくり抜いて造る訳にはいかないので、実際は無垢の板を接ぎ合わせてつくることになる。とはいっても、無垢の板材はべらぼうに高価なので、大体は集成材に落ち着くのだが、それでもモデルハウスという性格上、少しだけ粘ってみた。集成材でも、フィンガージョイントのない材料もあり、少しだけ無垢材の様にみえる。これが使えないかと打診し、現場でサンプルを見た結果、やっぱり集成材は木材の集成でしかない。それ以上にはならない。であるなら単価の安い普通の集成材で今回も落ち着くことになった。一見無駄とも思えるこういう作業の積み重ねは、住宅建築にとっては不可避であり、出来上がった姿は、これまでの思考の一部でしかない。その良し悪しは、設計者のセンスや判断力、拘りにあるのだといつも思う。妥協してしまえば簡単だが、そこにはやっぱり、色んな「闘い」と「葛藤」があり、わずかな判断で、建物の良し悪しを左右してしまうことになる。住宅という建築タイプは、クライアント個人の買物としては多額なため、予算にシビアにならざるを得ない。

左が設計当初(基本設計)の、外壁下見張りのイメージ。右が、実施設計終了時のヴォリュームCG。

外壁も当初は、ケイミューのSOLID(typeM_LAP)というのを選んでいたけど、予算の都合から、金属系サイディングに変更した。ただし、建物全体の印象として、そのイメージを引き継ぐ表情が欲しかったので、下のSF-ビレクトを選択。どちらもGOOD DESIGN賞を受賞した材料なので、公に評価を得た信頼性の高い外壁材には違いない。

アイジー工業のSF-ビレクト。

窯業系(ケイミューのSOLID)と金属系(SF-ビレクト)との根本的違いは、テクスチャー(質感や素材感)の違い。これは大きな差として表情に変化を与えることになる。ケイミューのSOLIDはザラっとした表情で、SF-ビレクトはツルっとした表情。そもそも基となる材料が違うので、どうすることもできない。

次に、建物正面、外壁の一部分を構成する板張りについて。
見積りには羽目板を入れており、板張りの性質上、木材経年による痩せや暴れを避けるため脳天から釘止めという施工方法しか選択肢がない。羽目板の繊細な表情に、釘止めというのに何かしらの抵抗があり、どうせ脳天釘打ち施工になるなら、いっそのこと壁の下地材(軸組)で使用する間柱を使ってはどうかと、閃いた!

壁の下地につかう間柱。普段は表に出てこない材料。今回はこれをつかって外壁の一部に張ることにした。下地材なので、表面は荒々しい。この荒々しさと、脳天釘止めの施工とで互いに打消し合い、表情が同一化することを目論んだ。釘をビスに変え、あえてその荒々しさをデザインとし、頭の大きなもので留めていく。

葛西臨海公園クリスタルビュー

折角の東京。講師研修だけで終わってしまっては勿体ない。なので早めに岩手を発ち、葛西臨海公園に建つクリスタルビュー(設計:谷口吉生)の見学がてらシーサイドランしてきた。

あいにくの雨だったが、小雨なので傘を差しつつ、景色を楽しみながらゆっくりジョグ。

FR鋼とガラスで構成された、とてもシンプルな建築。
外皮をガラスで構成した建物は、世界各地いたる所にあるが、その中で最も身近で有名なのは、ファンズワース邸(設計:ルートヴィヒ・ミースファンデルローエ)だろう。余談だが、死ぬまでに見ておきたい建築のひとつである。

数あるガラス建築の中で、このレストハウスは好きな建築。そして何度もここへ訪れている。

FR鋼で構成された構造体が、一体的な外皮となり浮遊感を与える。葛西臨海公園駅を降り立つと真正面に、ス~ッと空に溶け込むように佇んでいる。

この傍に、同氏設計の葛西臨海水族園が建つ。
通称、ウミボウズ

Tハウス建て方始まる

土地区画整理事業真っ只中の、盛岡市中太田で進んでいる住宅。

その建て方が始まったので、昨日現場に行ってきた。

建坪24坪程度の建物だが、意外と大きな印象。住居系の低層地域なので、外壁後退(1m)ギリギリまで外壁をめぐらし、北側斜線をギリギリかわし最高高さが6.7mというコンパクト設計。

外壁後退ギリギリににめぐらせた外壁の中に、ライトコートを2つ擁していて、外からの視線は極力、カットするようなプランになっている。

Tハウス初期イメージ

Mハウス外観3DCG

最終的な外観イメージを作成してみた。
外壁材料はコストパフォーマンスを考慮し、ガルバリウム鋼板張りを提案。

クライアントの要望は、奥さんはホワイト、ご主人は落ち着いたグレーと、ちぐはぐ(汗) 自分の設計は、外観が白というのが多いんだけど、しかし白は、年月を経ると必ず汚れが目立つので、クライアント互いの合意がないとやっぱり踏み切れない。ましてやご主人がグレーを希望されていることもあるので。

ご夫婦、話し合いの結果?好みの色の間を取って、薄いグレーを希望されている。ということで、まずはサンプルから色を抽出し、外装に張り付けてみる。

ちょっと中途半端なイメージかなぁ? 田園地帯に建つ建物ということでは、白系の方が田んぼの中に映える印象になるか…? グレーが少し入ることで、何かしらの効果が出る? いっそ、白にした方が良いのでは、なんて思ったり…

落ち着いたグレーにしてみる。
これはこれで、良い気がする。

さて、次回の打合せは来週!

スケッチ

盛岡市の某住宅のためのスケッチ。

この時は…というか、いつもそうだけど、外部との関係を真っ先に考えることにしている。ひとつ目は、クラスター状に各ヴォリュームを配し、それが外部におけるの建物の見え方や、クラスター状に配置したことによる多方向からの風景が内部に導かれる。様々な角度や視点の違いによる内部空間への影響等を考えながらスケッチ。2つ目は、内部空間、庭、内部空間と並列に配置し、純粋に庭との関係性をシンプルに考えた案。

この計画案も同様。
この計画地に対しての外部空間のスタディ。

やはりどれも外部との関係性が計画の出発点というのは、昔も今も変わらない。

木造建築(構造)設計養成講座

中大規模木造建築の構造を中心とした設計講座を、一昨日受講してきた。

構造の中でも木造は特殊で、構造を生業としている構造設計者でも、住宅系の小規模建築以外の木構造に関しては得意不得意があり、それくらいRC造やS造とは一線を引く独特な構造形式でもある。

とは言っても、大規模建築で法規的にも不利な木造をわざわざ選択するという機会は滅多にない。あえて意匠的な側面で木造にする、という意図を持たない限りはコンクリートか鉄骨が普通である。意匠的な意図があったとしても、主構造は鉄骨等で、仕上に木を使うということの方が合理的で、法的にも、建築物そのものの安全上の意味においても理に適っている。

では何故?受講したかと言うと、建築設計以外に、建築士資格試験の学科構造講師も務めていて、構造分野という広義の意味においての学習を意図したもの。そんなことがない限り、先ほどの工法的合理性を考えたときに小規模建築以外の建物に、木造を選択するということはない。つまり、受講はしなかったろうと思う。

今回のテーマは木構造だったが、講座や講演そのものの受講という意味においては、我々設計者は職能技術者としての資質や倫理観向上の上では、必要不可欠なものといえるだろう。

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