Mハウス

Tハウスよりも先に依頼を受けた案件。

しかし、市街化調整区域という特殊な条件のため、開発申請や、農転、更には予算調整等々で実施設計変更も何度か行い、プラン変更の度に構造の見直しで、えらく期間がかかった。設計依頼を受けたのは、去年の6月だったように思う。ファーストプレゼン資料のデータをみると2019/06/07となっているので、現場に入るまで約1年半かかったことになる(汗)

そのMハウスの現場が、ついに始まったのだ!

地鎮祭を終え、造成工事から浄化槽工事、元々田んぼだった敷地なので、地盤改良(杭工事)をし、現在は基礎工事に着手しようとしている段階。プランがちょこちょこ変わるので、柱の位置等に壁量計算書と意匠図との間に不整合か所が見つかり、その調整を行ったところ。

この、修正作業というのが厄介で、固まったプランの変更は、できることならやりたくないのは誰しもだが、要望があればその都度応じることにしている。これ、ハウスメーカーだと、ある期間を過ぎれば、絶対聞き入れてくれない。こういうところ、設計事務所ならではの融通性と言えるだろう。更に言えば

サルワタリ・アトリエ では、特にその辺り意識して設計してます!

建て主との対話がすべてを決める。建築家の意思は10%も出せれば良い方じゃないかと昔、著名な建築家が言ってたことを思い出す。

ともあれ、Mハウス現場が動き出した。

Tハウス板張り外壁の塗装

外壁板張りの塗装と、内部塗装関係の確認、リビング吹抜ペンダント照明の位置決め。

外壁はやはり折角の板張りを塗りつぶしてしまうというのは止めにし、もう少し板が太陽光で焼け、落ち着くまでギリギリ待ってからの決定とした。いずれ、下地の板目が分かるようなイメージで、薄く着色をする予定(上記レタッチ画像)

あ、そうそう。そもそもここは22条地域なので、法令上、外壁は不燃材で仕上げなければいけないので、当然木材の板は張れない。しかし画像左側の防火袖壁を設けることで、緩和されるのである。

ペンダント照明の位置は決めてきたが、高さ方向(配線の長さ)は後日、内部足場が外れるギリギリの段階で決定することに(画像右)

工事も大詰め。内部クロスと、設備機器の設置、アプローチを兼ねたインナーガレージの土間コンを打設したら、いよいよ竣工だ。

Tハウス外壁木部塗装の検討

着色するか否かの検討の前に、やはり現段階で予算上ウヤムヤになっている、植栽の再検討をちょっと打診してみる。

下段左の画像(クリア塗装)、やはり植栽を入れれば、木部のナチュラルさを出しても良いかと思う。上段左の画像(茶系濃色塗装。木部は透けてみえないように濃く着色)は、ちょっと違う気がする。せっかく外壁を板張りにした意味が無くなってしまっている。
下段左の画像(茶系薄色塗装。木部の下地が透けてみえる程度の着色)が、絵的にはシックリくるのではないかと目論んでいるのだが

何分、予算あっての工事なので、強制はできないけど。やっぱり植栽が入った方が良いよねぇと、誰が見ても判断できるかと思うのである。

Tハウス現場打合せ

照明位置、内外塗装色、畳表地、クロスについて現場打合せ。足場が外れないと全体のイメージが掴めないので、外壁木部の塗装のみ未決定。

上の写真、外壁木部のイメージは茶系と考えていたが、現場を見て、木の素朴な自然感を表現してみるのも悪くないかなぁと思い直し、クリア、茶系2色の3パターンのサンプルを依頼し、それを見た上で次回の決定とした。

右の画像のように、そもそも当初はこんなイメージだったけど、考えていた窯業系の外装材ではかなりの予算オーバーとなるため急遽、金属系の外装材に変更した。これに伴い、外装色が全く違うブラックを選ばざるを得なかったという経緯がある。

画像左下が当初考えていた窯業系外装材。色味はグレーっぽいが、減額のため画像右の金属系外装材(ブラック)に変更。写真では、光の加減で同系色に見えるが、全く別物。ちなみにどちらもGOOD DESIGNに選ばれたようだ。なので材料的には、メーカー主導のものではなく、外部デザイナー集団により、公に認められた製品であるため、その見栄えや製品自体の信頼度は大きいはず。

で、木部の塗装に話しを戻すと、木のナチュラル感を出すクリア塗装を施すには、植栽との一体感が欲しい。3本の植栽を木部前面に配置する計画としているが、予算の都合もあり、現在はウヤムヤになっている。植栽の有る無しで、建物の印象を変えてしまうし、今回の木部の配色にも影響するようにも思う。

チョコっと、木部の塗装イメージをラフ(強引)に現状の写真を元にレタッチしてみる。
やはり、足場が外れないとダメねぇ
ただ言えることは、木部そのままの素朴な印象を表現とするには、やはり植栽が無いと建物ベースとなるブラック色との対比を考えると、浮き過ぎてしまうような感じ。

明日、足場がすべて外れて建物全景が現れるというので、現場打合せを予定している。ファサードを撮影し、少し詳細に完成後のイメージを作って検討したいけど、明日は、雨の予報

Tハウス現場

以前、建物一部の外壁材を間柱(杉材)で仕上げると書いたが、その外壁が張られていた。もっと荒々しいものを想像していたが、意外と普通の羽目板と変わらない。羽目板との違いは、値段が安価であること、死節があるか否かという品質上のこと、一番の違いは板の厚み。間柱なので、30ミリもあってぶ厚い。一方、羽目板は12~18ミリ程度と薄い。この違いは大きく、板が薄いと反ったり、板同士に隙間が出来たりする。構造材なので、ほぼ気乾状態と含水率も低く、板に厚みがあるので、変に反ったり隙間が出たりすることが少ない。

これは結果的に、中々にグッドチョイスだったと思う。

あとは、板材の色味が均一になるように、木材保護塗料を施す予定。

Tハウス現場打合せ

建て方も終わり、外壁下地が張り終わりつつある現場に行ってきた。

建物のかたちが見えてきた。遠くに岩手山が見える好立地。しかし、区画整理事業真っ最中の土地柄なため、いずれは住宅で埋め尽くされることになるだろう。

車を自宅に置いて盛岡分室にきているので、盛岡でのもっぱらの移動は、チャリ(ミニベロ車)か、自分の脚ひとつ。とてもシンプルな移動手段💦 それで、趣味と実益を兼ね、ランニングで移動。距離に対する時間感覚を間違え、ちょっと遅刻すみません💦

今回は、細部の納まりについて現場打合せ。まずは階段について。

当初のイメージは、無垢の木をくり抜いて造った階段。物理的に木をくり抜いて造る訳にはいかないので、実際は無垢の板を接ぎ合わせてつくることになる。とはいっても、無垢の板材はべらぼうに高価なので、大体は集成材に落ち着くのだが、それでもモデルハウスという性格上、少しだけ粘ってみた。集成材でも、フィンガージョイントのない材料もあり、少しだけ無垢材の様にみえる。これが使えないかと打診し、現場でサンプルを見た結果、やっぱり集成材は木材の集成でしかない。それ以上にはならない。であるなら単価の安い普通の集成材で今回も落ち着くことになった。一見無駄とも思えるこういう作業の積み重ねは、住宅建築にとっては不可避であり、出来上がった姿は、これまでの思考の一部でしかない。その良し悪しは、設計者のセンスや判断力、拘りにあるのだといつも思う。妥協してしまえば簡単だが、そこにはやっぱり、色んな「闘い」と「葛藤」があり、わずかな判断で、建物の良し悪しを左右してしまうことになる。住宅という建築タイプは、クライアント個人の買物としては多額なため、予算にシビアにならざるを得ない。

左が設計当初(基本設計)の、外壁下見張りのイメージ。右が、実施設計終了時のヴォリュームCG。

外壁も当初は、ケイミューのSOLID(typeM_LAP)というのを選んでいたけど、予算の都合から、金属系サイディングに変更した。ただし、建物全体の印象として、そのイメージを引き継ぐ表情が欲しかったので、下のSF-ビレクトを選択。どちらもGOOD DESIGN賞を受賞した材料なので、公に評価を得た信頼性の高い外壁材には違いない。

アイジー工業のSF-ビレクト。

窯業系(ケイミューのSOLID)と金属系(SF-ビレクト)との根本的違いは、テクスチャー(質感や素材感)の違い。これは大きな差として表情に変化を与えることになる。ケイミューのSOLIDはザラっとした表情で、SF-ビレクトはツルっとした表情。そもそも基となる材料が違うので、どうすることもできない。

次に、建物正面、外壁の一部分を構成する板張りについて。
見積りには羽目板を入れており、板張りの性質上、木材経年による痩せや暴れを避けるため脳天から釘止めという施工方法しか選択肢がない。羽目板の繊細な表情に、釘止めというのに何かしらの抵抗があり、どうせ脳天釘打ち施工になるなら、いっそのこと壁の下地材(軸組)で使用する間柱を使ってはどうかと、閃いた!

壁の下地につかう間柱。普段は表に出てこない材料。今回はこれをつかって外壁の一部に張ることにした。下地材なので、表面は荒々しい。この荒々しさと、脳天釘止めの施工とで互いに打消し合い、表情が同一化することを目論んだ。釘をビスに変え、あえてその荒々しさをデザインとし、頭の大きなもので留めていく。

上にスクロール